ワーママ30代

舞台感想 ムシラセ第14回公演 『眩く眩む』

7月にはじめてムシラセの舞台を観てすっかり魅せられたので、今回も観に行きました。

前回の感想

 

 

「こういうやつ、いる~!」「組織ってこうだよね~!」のオンパレード。
アニメ会社のことはよく知らないけど、ああそうなんだろうな~とすんなり入ってくる。取材めっちゃしてるんだろうな。取材をめっちゃしてる作品は面白い。

 

前回も思ったけど今回は着替えが多かったので、より衣装が良い!という印象が強かった。
入社初日はヒールでパンツ、でだんだんラクチンなロングスカートとぺたんこ靴になるよね。
春原は黄色い靴下を履くよね。
草薙さん、1回Black SabbathのTシャツ着てて面白かった。

 

問題提起の畳み掛けにうーんうーんと悩みながら観る。答えがでないからスッキリしない…と思いきや、ラストシーンのカッコよさ!

めちゃくちゃカッコよかった。

あのシーンに関してはカッコよかったしか言葉が出ない。
なんか、大河なんて最初は性格最悪だし冴えないルックスに思えたのに、後半なんか普通に顔もカッコよく見えて、え、同じ人?って思った。
その演技力も凄いし、登場人物を嫌わせる、好きにさせる脚本の誘導も上手い。

 

赤城と神崎の2人のシーン。神崎はあんな風に笑うんだって、良いなって思ったし、赤城の独白と合わせて明らかに「良いシーンの演出」(少年ジャンプのスポ根漫画みたいだと思った)をして、後半ひっくり返してくる。

うま。

こわ。

 

後半の姫宮ブチギレモード、私は過去にパワハラを受けて退職した経験がある(傷は癒えてるのでトラウマフラバなどはしてないです!)ので、最初からずっと姫宮に共感していた。いいぞ、もっと言え、そうだそうだ!

ああいう愛される天才っているよなと思いつつ、神崎がずっと恐かった。舞台上の人だから見れた。どうかその目線が私に向かいませんようにと思いながら。
「事実を言っただけ」っていうのも頭では理解できるんだけど、私が部下だったら受け止められないと思う。神崎はトップに立つ人間じゃないっていうのは本当にそう。

多分私も、誰かに渡す書類に酷いメモ指示がつけてあったら本人には見せない。(言い換えて伝えるとか上司に相談するとかはするだろうけど…)
姫宮も戦犯だとは思う、けど、もしかしたら姫宮はアニメのことがわからないからオブラートに包んで言えなかった(絵のことで罵詈雑言って想像つかないけど、なんか専門用語が入ってたとかで、言い換え方がわからなかった)のかな?とも思うし、前職で散々な経験をしたから、竹内のことを信頼してなくて相談できなかったのかもしれない。

思い返せば姫宮は初日に男性陣に寄ってたかって好奇の目で見られて拒否していた。あれはセクハライエローカードで、アニメを知らないこともあり、彼女の心の中にはずっと壁があったのかも。だからこそアニメ見て勉強して、凄いって思ったからこそ爆発した。

「がっかりさせるな」

これこそ消費者の真の心の声。
好きな作品の裏にハラスメントがあったらさ、がっかりするよ。
言いたいことをいっぱい言ってくれて嬉しかった。「令和なんだわ」。

「そのジャンルに詳しくないキャラがトップに上り詰めるなんてアニメっぽいじゃん」みたいな台詞があったけど、まさに姫宮が悪環境をぶっ刺す展開が熱かった。

 

「俺たちはこれでやっていくから」ってアプデしなかったら結果的に会社の寿命が縮まるだけだし、どんなことも「この人がいないと回らない」なんてことはない。
ハラスメントが生まれない環境づくり、誰が欠けても動いていける調整を常にしていくべき。

お金の余裕が心の余裕に繋がって、心の余裕があればハラスメントは減ると思ってるから、結局貧困を生み出す国が悪いって私は思っちゃうんだけど。
時間の余裕も必要だから、「たまにはサボって」。いや普通に休憩して。

クオリティだって、良い環境でものづくりしなきゃ良いものつくれなくない?
私はクリエイティブな仕事に縁がないから神とか天才とか正直よくわからないけど、

眩しがってんじゃねーぞ!!!

と思った。

 

って言うのは簡単だけどね……

こんなにさも自分は善良な人間です風に書いてるけど私だって加害者側だった瞬間がたくさんあり、たくさんの人を傷つけてきた。
この作品は、問いの答えを明確に提出しなければいけない、と思わされるし、内省させられる。
人と関わる限りこの作品のことを絶対忘れないでいたい。

 

 

シリアスな感想が大半になってしまったけど、竹内と渡辺のコメディ演技は超笑ったし、アニメ見ない人がアニメ見た感想が「螺旋階段が長すぎて笑った」なの凄い好き。アニメってそういうところあるよね。後からウテナだと気付いて、ウテナ見て最初に言う感想それ!?って2度笑った。

登場人物は男性の方が多いのに、全体的になんかどこか百合っぽい印象を受けて、なんで?と思ってたんだけど、ウテナ好きな人がつくってるから…ってコト!?(好きじゃなかったらすみません)

 

話の本筋からは逸れるけど、春原は客席から見える範囲ではコミュ力高くて明るく社交的な見える。でも春原本人からしたら、好きなアニメの現場で好きなアニメ制作者たちと仕事してるからそういう風になってるだけで、他の仕事はダメダメで続かないし友達もいない。
わかる~。私もそう。春原がコンビニバイトでもたもたして怒られる姿が目に浮かぶ。

でも大河には「春原は友達多そうでいいよな」って思われるし、そんな春原も姫宮のことを「あんたはどこでだってやっていける」と思ってる。
他人から見た人間ってそんなもんだよな~。

だから、大丈夫だと思っていた人が突然自ら死を選んでしまうこともあるってことなのかな。
大河だって客席から見る限りでは「大丈夫」に見えた。でも姫宮には、どんな人もそうは見えてないんだろうな。
本筋から逸れてなかった。